銅版画家、池田良二氏は、1947年北海道根室に生まれ、1965年武蔵野美術大学に入学し山口長男や野見山暁治のもとで絵画を学んだ後、1975年独学で銅版画制作を開始し、時を置かずして国内外のコンクールに出品する中で頭角を現すようになります。 70年代の「à/avec Antoni Tàpies」シリーズ、80年代の「Note-two square」シリーズ、80年代後半以降続く「原風景」をテーマにした作品群、2000年以降の「円環」をモチーフにした一連の作品と、時代ごとに特徴が変遷するなかで版表現を拡張させながらも、自身に内在する根源的形象を探る求道者のごとく作品を純化させていきます。一方で、81年文化庁派遣芸術家在外研修員としてイギリスを中心に留学、94年以降アルバータ大学客員教授として度々カナダでの長期滞在など、海外における作品制作は銅版表現を深化させるだけでなく、新たな作品へと展開する転換点となりました。池田氏のフォトエッチングを中心に複数の銅版技法によって作り出されるモノトーンの静謐で緊張感ある銅版表現は、海外で高い評価を得て、ソウル国際版画ビエンナーレ大賞(1990年)を受賞。国内でも、タカシマヤ美術賞(2003年)山口源大賞(2005年)などを受賞、2009年には紫綬褒章を受章しました。